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都築さんの言葉は、サラさんが言ったのと同じ響きだった。
胸が切なく締め付けられるような、だけど温かくて優しい響き。
「それは……」
「ん?」
意味を聞こうとして言いかけた口を閉じた。
「いえ。何でもありません」
その意味を聞いたところできっと今のわたしにはわからない。
部長のことを何も知らないわたしと、何年も何十年も近くにいた彼らのとでは、感じる何かが違う筈だ。
「何だよー? 気になるじゃん。あ、桃花ちゃん、腹減らない? 今日は立食なんだよ。ほら、行こう」
そんなわたしの心境を読み取ったかのように軽く流すあたり、都築さんらしい。
彼の手招きに頷いて、部長よりもがっしりした背中について歩いた。
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