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「タイミングがなくて……」
見てくるべきだったなぁ。
女のくせに鏡を見ないなんて、と呆れられたかもしれない。
けれどタイミングがなかったのも事実で。
「間違いなくプレゼントだよ、それ。桃花ちゃんに似合ってる。後で見ておいで」
必ず、と強調して、都築さんはウェイターさんが持つトレイに乗った白ワインを取り、わたしに差し出した。
「飲める?」
「あの、お酒は……」
部長に飲むなと言われてから飲まないようにしていたため、断ろうとすると背後から腕が伸びてきた。
「コイツに酒はだめ」
「部長」
わたしの代わりにワイングラスを受け取ったのは部長で、差し出した都築さんは首を横に倒した。
「飲めないの?」
「そ、タチ悪いの。それより孝太朗、おじさんが呼んでる」
「マジで? ちょっと行ってくるわ」
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