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今度は都築さんが人の中に紛れた。
「何話してた?」
部長はワインに口を付けてわたしを見下ろした。
「えっと、サラさんが副社長だってことを」
「他には?」
片方の眉を上げた部長に首を振ってみせる。
「そう」
短く呟いた部長は、わたしのお皿に乗るイチゴが刺さったフォークを取って、それをわたしの口の位置で止めた。
「食べてないだろ」
こ、これは所謂アレですか。
あーん、とか言っちゃうアレですよね。
「じ、自分で……」
正直憧れではあるけれど、さすがに恥ずかしすぎる。
人目を気にしながらフォークを取ろうとすると、わたしにしか聞こえないような声で囁いた。
「このまま食べるのと、ここでキス。どっちがいい?」
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