51530人が本棚に入れています
本棚に追加
……まさかのニ択。
当然、選ぶのは食べる、だ。
けれどわたしのスキルでは、一瞬で済むであろうそれすらもハードルが高い。
どうしたものかと目の前のフォークに刺さったイチゴと、妖しげに微笑む部長の顔を交互に見比べると、
「時間切れ」
という声と共に、口に押し付けられたのはツブツブしたイチゴと温かくて柔らかい感触。
目を開いていたから、何が起こったのかわかる。
おどおどするわたしに業を煮やした部長が、イチゴをくわえて……口移し。
「甘い」
離れた部長の眉間にシワが寄る。
「こんな隅、誰も見てねぇよ」
イチゴを口に含んだまま呆然としていると、口の端を上げて笑った。
最初のコメントを投稿しよう！