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目の前に映ったわたしの鎖骨辺り。
落ち着いた化粧室の照明に照らされてネックレスがキラキラ輝いていて、その美しさに思わず見入ってしまった。
「綺麗……」
初めて見たそれは、平凡なわたしには似つかわしくないくらいの存在感を放つ。
華奢なゴールドのチェーンに通された赤い宝石。
部長がこれを選んでくれたのだろうか。
もしそうなら、どんな顔をして選んだのだろう。
悩む部長なんて想像できないなぁ。
でも、わたしに似合うと思ってくれたんだよね?
落ち着き始めた筈の心拍が再び速度を上げる。
どうしよう。
嬉しくて泣きそうだ。
込み上げる涙を堪えて化粧室の扉を開いた。
こんな顔、みっともないのはわかっているけれど、今すぐ言いたかった。
ありがとう、って。
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