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化粧室を出てすぐ。
パーティー会場があるフロアに繋がる通路の壁に、部長がもたれかかっていた。
その姿を見ただけで、好きだという気持ちが溢れ出す。
「桃花?」
駆け寄って腕に絡み付いた。
甘い香りのする彼の声は優しくて。
部長に羞恥心がない、なんて思ってごめんなさい。
わたしだって、人目を気にしないでこんな所で部長に抱きついてる。
触れたいって思う方が自然なんだね。
「ありがとうございます。服も……これも」
首元の赤に触れると、部長は目を見開いたけれど、それは一瞬だけですぐに笑顔に変わる。
「似合ってるよ」
前髪に落とされる軽いキスの後、
「少し、話をしよう」
そう言って、クロークに預けていた筈のコートをわたしの肩に掛けた。
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