じゅうご

17/22
前へ
/806ページ
次へ
「『フォレスト』の雑貨が好きで……昔からいつか働けたらなって学生の時から思ってました。両親にバイトは許してもらえなかったから、内定が貰えたときはすごく嬉しかったのを覚えています」 部長の肩口に頭を預けながら、そんなに昔のことでもないのに妙に懐かしく感じる記憶を探った。 「失敗したり、大変なことも多いけど……好きですから」 笹井部長に怒られたり、保田さんに褒めてもらったり、自分が携わった商品がお店に並んでいるのを見て嬉しくなったり。 「すごく、楽しいです」 「あんたらしいな」 ふっと小さな笑い。 「部長は……楽しくないですか?」 仕事に楽しい、楽しくないなんて求めるべきではないのかもしれない。 皆が皆、好きな仕事をしているわけじゃないのだから。 沈黙が訪れて言うべきじゃなかったと後悔をした。 けれど一度口から出てしまった言葉は取り戻すことができない。
/806ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51541人が本棚に入れています
本棚に追加