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「……あぁ」
それは肯定か否定か、どちらなのかはわからなかったけれど、それ以上は聞かなかった。
「おじさんが社長で、サラが副社長だってことは聞いたな?」
「はい」
「仕事は聞いた?」
そういえば聞いていなかったな、と首を振った。
はぁ、と部長が吐き出した白い息がたちまち闇に溶ける。
「そうだな。簡単に言えばアクセサリーを扱った仕事をしてるんだ」
アクセサリーと聞いて、わたしの首で光る宝石を思い浮かべた。
「俺の父親とサラの父親は昔からの友達らしくてね。アメリカから仕事で日本に来た時は、必ずサラがくっついてたな」
小さなサラさんは容易に浮かぶのに、子供の頃の部長は想像できない。
今みたいに、意地悪に笑ったりしていたのだろうか。
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