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まだ会社員は休みの人が多いのか、駅は人でごった返していた。
行き交う人々を一人一人見ながら、目当ての人を待つ慣れない行動はわたしを不思議な気持ちにさせる。
落ち着かないような、嬉しいような、そんな気持ち。
「その代わりって言うか、あの……ま、待ち合わせ! …を、してみたい…です」
わたしの子供みたいな申し出を、部長は笑顔で受け入れてくれて、待ち合わせ場所に駅を指定してくれた。
初めてのデートに初めての待ち合わせ。
ついさっきまで一緒にいたのに、早く会いたい気持ちでいっぱいになる。
背後のガラスに自分が映っていることに気づいて、手櫛で前髪を整える。
「そんなことしなくても、かわいいよ」
「ひゃっ!?」
両肩をポンッと叩かれたのと同時に耳元で囁かれて、ビクリと体が跳ねた。
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