じゅうなな

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バクバクと早鐘を打つ鼓動を抑えようと胸元に手を置いて振り返った。 「ははっ、驚きすぎだろ」 目尻を下げて笑みを浮かべる部長は、何だか雰囲気が違って見えて、さっきまで一緒にいた筈なのに久しぶりに会ったみたいにドキドキしてしまう。 「ぶっ……」 部長、と呼び掛けようとしたら、男性特有の、けれどスラリとした綺麗な指がわたしの口を覆った。 「せっかくのデートなんだから、部長はやめてくれる?」 目を細めて言い聞かせるような口調に何度か頷くと、すぐに解放された口。 けれど、すぐに部長は腰を折り曲げて屈む姿勢になり、わたしの髪に触れた。 「それから、髪は耳にかけない方がいいと思うよ」 「え? 変でした?」 日頃から髪を耳に掻き上げるのが癖になっているから無意識のうちにしてしまうのだけど、と髪を梳きながら首を傾げると、口角を上げた部長が耳元で言った。 「見えてる。……キスマーク」
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