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「連絡するから」
慌ただしくもそう告げる彼と別れてから、何時間待っても携帯は鳴ることはなくて。
いつの間にか寝てしまい、仕事始めの朝を迎えても、やっぱり携帯は無言のままだった。
「忙しいのかな……」
一人呟いても返事が返ってくるわけもなく、ただ溜め息が漏れた。
連絡がないなんて初めてのことじゃない。
年末から年明けにかけてなんて、今なんかよりずっと長い時間音信不通だった。
そもそも部長からメールが来たことなんてないし、電話だって数えるくらいしかない。
なのに、たった半日連絡がないだけで寂しいと思ってしまう。
大丈夫、会社に行けば会える。
何も聞けなくても顔は見られる。
それだけでいいじゃない、と自分に言い聞かせて出社準備を始めた。
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