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どんなに苦しいことがあっても、どんなに悲しいことがあっても、何が起こったとしても夜は明けて朝がくる。
いつも通りに会社に行って、いつも通りに仕事をする。
その合間に秘密の視線を交わしたりして、一日を終える。
そんな風に数日を過ごしたある日、それはやってきた。
密かに抱えて奥底で封をし、目を逸らし続けてきた……暗闇。
※※※※
「……」
アパートに備え付けられた郵便受けの中で、手に取られることをひっそりと待ち続けているかのようなそれを凝視した。
ふたつに折り畳まれた葉書。
そのまま放置したい気持ちもあったけれど、そういうわけにもいかないので恐る恐る手を伸ばせば、嫌な予感は当たるもので、印刷された文字を見て目の前がクラリと揺れた。
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