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……さて、どうしようか。
困った事態に陥って、かれこれ十分が経過してしまった。
「ま、眞生さん……?」
眞生さんが着ているシャツの袖口を引っ張りながら、極々小さな声で呼び掛けるも、当然のように返事はない。
それもその筈で、彼は眠っている。
本当にどうしよ……。
目が覚めて、身動きしようとして気が付いた。
わたしの背中にぴったりくっついて、前にまわされた手はがっちり固定されていて。
全く動けないのだ。
変に動いて眞生さんを起こしてしまうのも嫌だから、諦めてじっとしておくことにした。
背中から伝わる体温と微かな鼓動。
何でだろう。
くっついてドキドキする筈なのに、すごく安心する。
また眠っちゃいそ……、
「……っひ!?」
眠りに落ちる寸前、寝室に電子音が鳴り響いて、驚きから身体ごと跳び跳ねた。
「びっくりしたぁ……眞生さんっ、電話ですよ」
未だバクバクと脈打ち続ける胸を押さえて、無理矢理脱出した眞生さんの腕を揺らして起こす。
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