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「ん……、誰?」
「へ?」
これは携帯を見ろということなのだろうか。
人の携帯を見るのは気が引けるけれど、一向に起き上がる気配のない彼の代わりにベッドサイドに置かれた携帯を手に取ってサブディスプレイを覗き込んだ。
「眞生さんっ、都筑さんです。早く出ないと切れちゃいますよ」
携帯を差し出して揺さぶると、うっすらと開いた目でわたしを見上げられた。
「……無視しろ。後でかけ直せばいい」
寝起きで掠れた声にうっかりときめきそうになりながらも、携帯からの着信音に引き戻される。
「ええっ? 急用かもしれま……あぁ、切れちゃった……」
静かになった携帯を見つめていると、伸びてきた手にそれを奪われて、更に伸びてきたもう一本の腕に腰を引かれ、またベッドに寝かされてしまった。
「あんた達、起きるの早すぎ。俺、朝弱いんだよ」
仰向けのわたしの上に腕を乗せたまま、再び睡眠体制に入る眞生さん。
ていうか、朝早いって……もう九時なんだけど。
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