にじゅうよん

8/30

51510人が本棚に入れています
本棚に追加
/806ページ
職場で見る眞生さんはいつもパリッとしているのに、意外な一面を見つけたことに嬉しくて頬が緩む。 羨ましいくらいに整った寝顔を眺めていると、眉間にシワが寄った。 「わっ」 と思ったら、顔を胸に抱き抱えられてしまった。 「苦しい、ですっ」 ジタバタもがいても力は緩まなくて。 「うるさい。人の顔をジロジロ見るな」 ……バレてた。 「いいじゃないですか。減るものじゃないし」 「あんたに見られると、減る気がする」 「……じゃ、もう見ません」 昨日までの甘さはどこへやら、寝起きだからこその意地悪なのか。 「いじけるなよ」 ふっと笑いを漏らした眞生さんの顔が近づいてきて、あと数センチで唇が触れそうになる。 いじけながらも拒むことのできない単純なわたしは、目を閉じて受け入れる……筈だった。
/806ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51510人が本棚に入れています
本棚に追加