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職場で見る眞生さんはいつもパリッとしているのに、意外な一面を見つけたことに嬉しくて頬が緩む。
羨ましいくらいに整った寝顔を眺めていると、眉間にシワが寄った。
「わっ」
と思ったら、顔を胸に抱き抱えられてしまった。
「苦しい、ですっ」
ジタバタもがいても力は緩まなくて。
「うるさい。人の顔をジロジロ見るな」
……バレてた。
「いいじゃないですか。減るものじゃないし」
「あんたに見られると、減る気がする」
「……じゃ、もう見ません」
昨日までの甘さはどこへやら、寝起きだからこその意地悪なのか。
「いじけるなよ」
ふっと笑いを漏らした眞生さんの顔が近づいてきて、あと数センチで唇が触れそうになる。
いじけながらも拒むことのできない単純なわたしは、目を閉じて受け入れる……筈だった。
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