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ピンポーン、と軽やかなインターホンの音に、わたしたちは時間が停止したようにピタリと止まった。
「だ、誰か来ましたよ?」
「……いい」
眉を寄せてそう言うと、リップ音を鳴らして唇を啄んだ。
のもつかの間、家中に響き渡るインターホンの音。
しかも、ものすごい連打をしているらしく、前の音が終わらないうちに新しいピンポンが重なる。
「あの、やっぱり出た方が……」
さすがに気になって仕方ない。
ここまで鳴らすってことは、確実に用事があるってことだろうし。
「……行ってくる」
溜め息を吐き出しながら、眞生さんは寝室を後にした。
何だか慌ただしい朝だ。
「……着替えようかな」
昨夜、眞生さんが空けてくれたクローゼットから服を取り出し、彼が戻って来ないうちに着替えを済ませる。
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