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うんざり、という表情を浮かべた眞生さんを押し退けてリビングにやって来たのは、暫く見ない間に髪色がよりオレンジに近づいた都築さん。
その顔は、あり得ないものを見たかのように口をあんぐりと開けていて。
「だから入るなって言っただろ」
眞生さんが溜め息を漏らすも、都筑さんはまだ唖然としていて、わたしは咄嗟に姿勢を正した。
「お、お邪魔してますっ」
「何でだよ。邪魔なのは明らかにアイツだろ」
正座をするわたしの元にやって来た眞生さんがチラリと都筑さんを見た。
「え? え? 何で桃花ちゃんがいるの? あ、泊まり?」
「お前うるさい。名前で呼ぶな」
睡眠を邪魔されたからなのか、それとも別の理由からなのか。
眞生さんの機嫌はすこぶる悪い。
「桃花、洗面所使っておいで。孝太朗、俺は着替えるから、お前はコーヒーを淹れろ」
……不機嫌は都筑さん限定のようだ。
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