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洗顔やメイクを終えてリビングに戻ると、何やら美味しそうな匂いが漂っていた。
「あ、桃花ちゃん。おかえりー。朝ごはんできてるよ」
満面の笑みを浮かべて手招きする都筑さんの目の前には、綺麗なオムレツとサラダ。
「はい、座って座って」
パタパタとスリッパを鳴らしてわたしの背後に回り込み、背中を押してダイニングテーブルへと連れていかれる。
「え、あのっ」
促されるまま椅子に座ると、眞生さんによく似た笑顔を浮かべた都筑さんがトーストの乗ったお皿を差し出してくれた。
どうしていいかわからなくて受け取ってしまったけれど、本当ならわたしが作らなきゃいけなかったんだと思うのに。
でも、このふんわり焼き目ひとつない綺麗なオムレツや、カラフルなサラダの盛り付けセンスを見せられてしまうと、元々小さかった自信もより萎んでしまう。
「すっぴんの桃花ちゃん、二回目だったね」
クスクス笑いながら、サーバーからコーヒーを注ぐ都筑さんは黒いエプロンを着けているせいで、お洒落なカフェの店員に見える。
オレンジの髪の毛を除けばだが。
「お見苦しいものを…すみません……」
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