にじゅうご

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わたしの脳内は新店舗のプレゼンをどうするかということでいっぱいになってしまっていて。どうやら、わたしは同時に複数のことを考えることができないらしい。 「ちょうど土曜日だし、今年も帰ってくる?」 「うん。ちゃんと明後日帰るよ」 「あら、そう? 今年は遠藤さんと過ごすんじゃないかってお父さんが心配してたから良かったわ。じゃあ、土曜日にね」 相変わらずお母さんは言いたいことだけを言うと、わたしの返事を聞かずに電話を切ってしまう。 それがマイペースなお母さんらしい。 「眞生さんは知らないんですよー…」 通話が途切れたのとマンションに着いたのはほぼ同時で、携帯をバッグにしまって、代わりに鍵を取り出しながら呟いた。 「俺が、何?」 「ひゃっ!?」 突然背後から掛けられた声に驚いて、持っていたバッグや雑誌の入った袋、マンションの鍵を落としてしまった。 「ま、さき…さん……」 振り返ったそこには大好きな人。 「明後日が、何だって?」 わたしを見下ろす眞生さんはにっこり微笑んでいるのに、目が笑っていない……気がする。 ……何か、怒っていらっしゃる……?
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