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綾野ちゃんからファイルを受け取って中身を確認すると、わたし達は慌てて企画部を出た。
「うう……緊張するなぁ」
相変わらずデキル女には程遠いけれど、プレゼンの段階では好評だった。
だから、これからの会議で結果が出ると思うと、正直怖い。
会議室の前で立ち止まって、深呼吸をする。
平然とした表情だった綾野ちゃんも、今ばかりは緊張するらしく、わたしと同じように深く息を吐き出した。
今日が終わりか、今日が始まりか。
二人で顔を見合わせて、会議室の扉を開く。
広い室内に集まるのは、この一ヶ月ですっかり見慣れたメンバー。わたしと綾野ちゃんを含めた企画部員四名、営業部員四名、経理部員二名に各部の部長。予め役員会議で話し合われたから、社長や専務などのトップはいない。
それでもやっぱり肩に力が入ってしまうのは、緊張の証。
「全員、揃ったようなので始めたいと思います」
先に来ていた企画部の先輩方の隣の空いた席に座ると、威厳を伴わせた眞生さんの声が会議室内に響き渡った。
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