にじゅうきゅう

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しんと静まる中、企画部部長である眞生さんの声と、わたしの心臓の音しか聞こえない。握り締めた手のひらにも、嫌な汗が滲む。 「前回の役員会議で、企画Aと企画Bを―…」 この一ヶ月、ずっと走り回っていた。 隣の駅から少し歩いたところにある新店舗建設予定地へ行ってみると、意外と大きな土地だということ。周りは住宅が多いということ。そして目についたのが、いくつかの公園。 そこから生まれでた企画案が現在『企画B』と呼ばれているもの。 テーマは遊べる家族のための雑貨屋。ターゲットは、小さな子供をもつママやパパ。 駅前でアンケートを取った時、子連れの人はなかなか雑貨屋に行きづらいと答えた人が多かった。 基本的に店内の通路は狭いからベビーカーなんて無理だし、商品も細々したものが多いから、小さな子供には誤飲の危険性もある。 そういうものに配慮した、且つもともとの『フォレスト』がもつイメージであるナチュラルを活かしたものを提案した。
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