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今まで小さなミスを繰り返してばかりだったわたしにしては、まずまずの案だと企画部内でも賛同してくれる先輩達がいたのも、大きな力になった。
入社して五年目にして、わたしに新しい世界を見せてくれた仕事だ。
「桃! 桃ってばっ」
ぐらぐらと揺れる視界に、はっと我に返れば、わたしの肩を揺さぶる綾野ちゃんが顔を覗き込んでいた。
「え、えっ?」
会議中の筈の室内を見渡すと、会議に参加している人達が呆れたような困惑したような苦笑を浮かべていた。
「ちょっと、あんたすでにそんな状態で大丈夫なわけ?」
大袈裟な溜め息を吐いた綾野ちゃん。呆れたような流し目はすぐに弧を描いた。
「『リトル・フォレスト』が採用されたわよ」
「え、は……」
彼女は確かに『リトル・フォレスト』と言った。『リトル・フォレスト』と言えば……、
「き、企画B……?」
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