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企画Bは小さな子供をもつ親をターゲットにしていることから、企画部の間では『リトル・フォレスト』と呼ばれていた。
それが、採用……?
「続けてもいいかな?」
採用という現実が信じられなくて、唖然とするわたしに投げ掛けられたのは眞生さんの声で。
「は、はいっ! すみませんっ」
普段わたしに掛けられる柔和な声音ではない、柔らかな中にも圧がかかったその声に、笹野元企画部長に植え付けられた反射神経は、真っ直ぐに背筋を伸ばすように伝達する。
そんなわたしに、特別ではない、社内の誰にでも見せる……所謂『営業スマイル』に似た笑みを浮かべて、『遠藤部長』は口を開いた。
「それでは続きを。企画A・Bは同時進行するわけですが―…」
※※※※
絶対に成功させたい。
やり遂げたい。
そう思っていたけれど、いざ採用です、と目の前に突き付けられると嬉しさよりも、信じられない気持ちの方が大きい。
それに。
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