にじゅうきゅう

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仕事内容の大変さは比べようのない程の差があるのだろうけれど、支えてくれる人がいるのといないのとでは全然違う。 「会いたいなぁ……」 毎日会社で顔は見ていても、一人暮らしに戻ってからはまともに話もできていない。 完全にすれ違い状態だったりする。 「……」 こうやってポツリと呟くとヒーローのように現れるから、もしかしたらと思ってみたけれど、世の中そんなに甘いものではないらしい。 カリカリとパソコンの内部が音をたてるだけで、企画部内にわたしの虚しい一人言が響くだけ。 動きの鈍い瞼を持ち上げて、携帯を見つめてみるせれど、そうしても鳴るわけでもなくて。 小さな溜め息を漏らして、メールの作成画面を開く。 送っても、いいかな……? 昼休みだし、いつ送ってもいいからメール機能があるわけなんだから、そうしたらいいのに、どこかで気を遣ってしまう自分がいる。
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