偽物の笑顔

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もう慣れた。 恐怖なんていうのはとっくの昔に越えてしまったのだと思う。 恐怖を越えてしまえばあるのは快感だ、という話を聞いたことがあるような気がするけど、個人的な見解を言わせて貰うならばそれは嘘だと思う。 私の場合、恐怖を超えたところにあったのはアドレナリン分泌による高揚状態ではなく、ただの煩わしさだった。 特別な人間だ、って言われた事がある? 『特別な人間』というのは、砂糖菓子みたいに甘ったるい言葉だと私は思う。この言葉一つで大抵の人間は何かしらの反応をする。劣等感を浮き彫りにさせる人間もいれば、自尊心と虚栄心を満たし恍惚と笑うのもいるだろう。 私の周囲を彷徨く輩は、私を特別だという。人の良い偽物の笑顔を浮かべながら、温かそうな手を差し伸べてくる。甘えてしまえばいいと、そうすれば幸せになれると。 出来の悪い宗教のようだ。ヘドが出る。
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