196人が本棚に入れています
本棚に追加
男の言葉に、さなえは今更ながら、自分の考えが甘かった事に気付かされるのだった。
さなえは部屋の中央に立って男の方を向くと、まずブラウスのボタンをはずし始めた。男の視線がそんなさなえに注がれているのは感じられたが、さなえは男の顔を見る事はやはり出来なかった。さなえは恥ずかしさで顔が火照って来るのが自分でもわかった。しかし、躊躇する事は許されなかった。
男はソファーにもたれかかり足を組んだ姿勢で、タバコの煙をくゆらしながら黙ってさなえが脱ぐ様子を見ていた。
ブラウスに続き、スカートとパンストを脱ぐと、さなえはブラとパンティだけの姿で立ち尽くした。
「どうした?早く下着も脱ぐんだ。」
男の容赦ない言葉に、さなえは諦めたように下着を脱ぎ始めた。
さなえは手で胸と局部をかくしながら下着を脱ぎ去った。
「手を後ろで組め。」男の強い口調に、さなえは慌てて手を後ろに回した。
男の視線がさなえの隅々に突き刺さる気がして、さなえは思わず目をつぶった。そのためにバランスを崩して、さなえはよろけてしまった。
「しっかり立っていろ。」男に言われて思わず目を開けたさなえは、男と目が合ってしまい、慌てて視線をそらした。
男の目は、品物でも眺めるように冷たい光を放っていた。
「ちょっと細いが出る所はちゃんと出てるな。」男は品物を値踏みするような口調でそう言った。
さなえは男の視線に晒されながら恥ずかしさに耐えていたが、その言葉に少しだけ救われた気がした。
いきなり『イヌ』だの『ブタ』だの罵倒されたら、恥辱のあまり卒倒してしまったかもしれない。それだけさなえの気持ちは、細い線の上を渡っているかのように不安定になっていた。
自分から望んで上がった舞台ではあったが、やはり不安、恐怖というものは簡単にぬぐい去る事は出来なかった。
男は短くなったタバコを灰皿でもみ消すと、立ち上がってさなえの所へやって来た。
男の手には、首輪よりも小さめの、黒い革製の手枷があった。それは金属製のくさりで繋がれていた。
「今日は初日だからな。縛るのは止めておく。」そう言いながら男は、さなえが後ろに回していた両方の手首に手枷をはめた。鎖は20センチほどの長さが有り、身動きが取れないというほどではなかった。
男はさなえの前に回ると、いきなり両方の乳房を強く掴んだ。
「アッ。ウゥー。」さなえは思わずうめき声を漏らした。
最初のコメントを投稿しよう!