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……わからない。
お互いの顔が見えないことに甘えて、都合よく縋り付く存在だと思っていたのに。
文字だけのやりとりで、本当に分かりあえるわけなんてないと。
しかし今自分の目の前でコメントをくれた50人の、どこまでが口先だけの軽薄なもので、どこまでが本当に残念だと思ってくれているのかが解らない。
いつもコメントをつけないくせに、またスルーすればいいのに、『大変だったね』ってわざわざ言ってくれるのは、どうして。
真帆の中で、『わからない』だけがひたすら渦巻き始めた。
出口のない思考に、思わず叫び出したくなるほど。
――やっぱりユウトにだけは、相談してみようか。
彼ならば、このもやもやした気持ちに答えを与えてくれる気がする。
さっきのメッセージに返事をしよう、と拙い手つきで画面を切り替えた。
ユウトからのメッセージは開封済かつ未返信のアイコンがついている。
それにカーソルを合わせたとき、不愉快極まりない声とともに勢いよくドアが開いた。
「どうだ、真帆っ! これで私も明日から一緒に登校できるぞ!」
「っは……!?」
底抜けに明るい声を上げながらノックもせずに入ってきたのは山田。
「うわっ……キモっ!」
丈の合わない学ランに身を包んだその姿に、真帆は正直な感想を漏らす。
それが兄のものであることをすぐに察した彼女は、頭を抱えてため息をついた。
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