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「じゃあ……、お父さんお母さん、いってらっしゃい!
気を付けてね」
「ああ、一人にしてしまってごめんね」
一人娘の私にとても優しい父。
そんな父が申し訳なさそうに微笑む。
「あら、一人暮らししたいって言ったの美由じゃない。ねぇ?」
父の心配を他所に母が私にそう尋ねた。
「そうだよ!
4月から高校生だし……寂しくなんかないよ!
むしろ楽しみだしね」
私は二人に心配させないよう、飛びきりの笑顔を見せた。
「そうか、じゃあ美由のことは安心していってくるよ?
お父さんはすこし寂しい気がするけどね……」
「そうそう。
引っ越しは業者に任せててあるからね……。
美由もがんばるのよ。
あっ……、くれぐれも相手のお嬢さんに迷惑かけないようにね?」
―そう言い残し、両親は赴任先のアメリカに出発した。
これから、私の新しい生活が始まる―。
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