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3歳のフィラはおっとりしているからか、1歳のキョウにすらケンカに負けてしまう。
「どこを叩かれたんだ?」
僕が言うと「いっぱい」と言いながら目から涙をボロボロこぼしながら抱っこを求めてくる。
僕はエリザベスをアヤに預けると、ベッドに座ったままフィラを膝に抱き上げた。
僕と同じフィラのクリンクリンのブラウンの巻き毛が肌にくすぐったい。
「ママ~」
「行っちゃダメェ」
「キョウ!」
部屋の外から複数の声がしたかと思うと、姉たちの制止を振り切ってキョウが中に飛び込んで来た。
「ママ!」
「キョウなんかキライ!」
妹の姿を見たフィラはそう言いながらキョウを叩く真似をするけれど、僕に抱っこされたままだから届くはずもなく、キョウは我関せずとアヤの所に走り寄る。
母はそれを見ると肩をすくめた。
こうなると話し合いなんか不可能だ。
母はため息をつきながら「続きは後ね」と部屋から出て行ってしまった。
そんな大人たちの思惑は知らずに、キョウはアヤに抱かれたエリザベスをマジマジと見つめる。
そして……。
「ウェッ、ウェッ、ウェ~~~~ン」
彼女は家中に響き渡るような大声で泣き始めた。
いや、涙が出ていないから正確には泣き真似だ。
キョウは突然の来訪者がママに抱かれているのを見て、戦闘モードに入ったのだ。
彼女はアヤの膝によじ登ると、エリザベスを押しのけるようにしてアヤの服の前ボタンを外そうとする。
アヤが「仕方ないなぁ」と笑いながらボタンを外して前をはだけると、キョウはママのおっぱいにパクンと食らいついた。
おっぱいこそブラッキン家の娘の特権!
よそ者にはやるものか!?
得意満面でおっぱいを飲むキョウ。
ミュウが亡くなってもこうやってキョウが飲むから、アヤの母乳が涸れることはなかった。
エリザベスは不思議そうな顔をする。
隣の侵入者は誰なんだろう?
そして何をしているんだろう?
だけど偶然に、本当に偶然にアヤの乳首がエリザベスの唇に触れた瞬間、エリザベスはアヤの乳首を口に含むとキョウと同じようにして吸い始めた。
「あら、乳母になっちゃった」
アヤの言い方が余りに軽くて笑ってしまう。
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