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二階建てアパートの二階、角部屋はカーテンが一日中閉まっている。 昼間外を出歩く事は殆ど無い為、近所付き合いも無く、住んでいるのが若い男性だという事しか周囲に知られていない。 その部屋に住んでいるのは林間美月 -ハヤシマ ミヅキ- 21歳 独身 独り暮らし。 彼の記憶力は異常と言っていい程良い。 その記憶力は勉強やパソコン操作から 人の名前や顔も一度目にすれば忘れない。 異常な記憶力。それは決して良い事ばかりではない… 多くの人は他人に言われたり、されて嫌だと感じた事。 その当時はとても辛い出来事であってもいずれかは記憶が薄くなり忘れてしまう事が多いだろう。 しかし林間はどんなに些細な出来事も記憶している。 何気無くすれ違った人の顔までも無意識に記憶してしまう。 それは心身に計り知れない負担が掛かる。 そしていつからか… 人や世間との関わりを自ら拒んで部屋に閉じ籠るようになった。 林間は昼間に睡眠を取っている事が多い。 なので時間等に縛られない、人に直接会わないで出来る会員制掲示板を管理して生活している。 林間の管理している掲示板は学生から社会人までと幅広い年齢層が登録していて一日のアクセス数や書き込み件数は多い。 今日も深夜に掲示板を見て広告や怪しい書き込みが無いかをチェックしていた。
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