-ｎｏｔｅ ｂｏｏｋ-

はじまりの１ページ

いつもの様にパソコンの前に座って書き込みに目を通すが、人面犬が出ただの、ＵＦＯを見ただのと現実味の無い記事ばかり…。

相変わらず林間の目を引くような記事は無い。

パソコンの横に置いてある林間の愛煙"KOOL"の箱に手を伸ばした。

『……』

煙草の箱は軽くカサカサっと中に残った葉のカスが音を立てていた。
一応箱を開けて見てみたが煙草の箱はやはり空だった。

１ヶ月前に買いためといた煙草のストックも全て無くなっている。

深い溜め息を吐いて上着を持って立ち上がった。

気付けは１ヶ月ぶりの外出だった。林間からすれば珍しくは無い。
林間が外出する理由は煙草が無くならない限り無い。

外に出るのは人通りが少なくなる深夜が多い。

近所に徒歩5分で行けるコンビニがあるが大通りにあるため利用しない。

林間がいつも行くコンビニは徒歩30分は掛かる。
大通りから少し離れているのもあり、深夜の利用客が少ないのが理由だ。

林間は外出時には夜にもかかわらず、サングラスを掛けてヘッドフォンで音楽をガンガンに聞いてて歩いている。

余計な物を見ないように…聞かないように。
記憶しないように…。

そして、いつものコンビニでKOOLを在庫に有るだけカートンで買い占めようとしたが、運悪く入荷前だったのもあり１カートンしか無かった。
仕方無く１カートンだけを買ってコンビニを出だ。

家に向かって歩いているといきなり冷たく強い風が吹いてきた。

立ち止まると昔病院だったらしい廃棄の前だった。
サングラスとヘッドフォンを外して廃棄を見ていると何か聞こえてきた。

確か掲示板にこの廃棄から夜中に歌う幽霊が出るって書いてあったのを思い出した。

幽霊…。

なんとなく気になって廃棄に入って行った。