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にも関わらず、退役へと追い込まれていないのは一重にその悪魔的なまでの頭脳のせいだ。少尉が麒麟児、と評したのもそこによる。
北を取られて以後、それより南に禮が動かなかったのは参謀として彼が赤石に留まり続けたからだとする意見もある。
私達と丁度入れ違いに野戸勤務となった彼と私は顔を合わせたことがない。
合わせたことがないからこそ、会わなくとはと思う。
私はまだまだ何も知らないし、わからないから。沢山の人に会って、知りたいと思う。
別の見方、多くの推測。
私とは違う展望と眺望。
見てみたいと願う風景。
純粋に、そう思うことがある。
頷いた私に、秋月少尉は笑ってくれた。
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