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午前二時、住宅街を歩く二つの影。辺りは街灯の明かりしかないが住宅街なだけあって街灯の数も多く特に視界に問題はない。
「あー…糞怠ぃ。なんか起きねえかな?地球爆発しねえかな?」
夜空と同じ、吸い込まれるような少し短めの黒い髪を持つ男性は、物騒なことを言いおわると同時に右手に持っていた煙草を吸ってため息を吐くように白い煙を吐き出した。
隣で歩く女性は、同じく黒い髪。違うのは腰の辺りまで伸ばされた艶の良い髪の毛。
「あんた馬鹿じゃないの?地球が爆発したら煙草吸えなくなるじゃない」
彼女も煙草を吸っている。喰えたま喋った所為か少し言葉が籠もっている。だが、男性はその事を全く気にしていない。
「バーカ、その前に皆死ぬぜ?」
呆れたように、肩をすぼめ彼女に視線をやると女性も男性を見ていたのか目が合い暫く場が沈黙する。
「……別にいいわ。でも…」
本当にどうでも良いように答えると、少し強めの風が吹き散らばった髪の毛を鬱陶しそうに耳に掛けて続きを言う。
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