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ベランダへ繋がるドアのガラスはバラバラに割れ、鉄の枠もグニャリと変形している。
そこから一直線に突っ込んだであろうクローゼットは観音開きの部分が開いている。クローゼットを閉めると丸く穴が開くのが簡単に想像できる。
だが、状況を理解する間もなく雄馬の目はある一点から目が離せない。
本来、部屋にあるはずの無い物が散らかった服の上で横たわっている。
「…なんだよこれ」
見たことのない黒を基調とした服、いやコスプレといった方が正しい。どう見ても魔女と言う単語がしっくりくる。
それが大事そうに抱きついているのは、これまた魔女にピッタリな竹箒。しかし、雄馬が知っている箒とは色が違い服と同じ黒色をしている。
可愛らしい顔していることから女性ととれる。顔つきはかなり幼く髪は明るい緑色をしている。
(だめだ、全く理解できない。俺馬鹿だからなぁ…テストじゃ赤点だし、方向音痴だしな。うん。)
一回落ち着こうと数回深呼吸を繰り返す内に部屋の状態に気付き、辺りを見渡すと。彼の趣味であるバイクの雑誌が本棚から落ち、丁度自分の欲しいパーツのページが開かれていた。
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