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チュンチュン-…
ピピピピピピピピピッ
朝を迎えた目覚まし時計がまるで俺を起こすのが仕事だと言わんばかりに元気良く鳴る。
朝には滅法弱い俺にとっては、快適な睡眠時間を邪魔された事にしかならないが起きなければ1日が始まらないのだ。
俺は仕事を終えた目覚まし時計を押し、ベッドからゆっくりと立ち上がり洗面所へと向かった。
「あら、お早う。」
洗面所から『ひょこ』っと顔を出すのは俺の母親・小澤 美奈。
もうすぐで四十路だというのに年齢からは想像出来ない、若々しい母親だ。
「おー…お早う。昨日は何時に帰ってきた?」
「昨日は忙しくて寝たのは0時よ、0時!もー…こきつかい過ぎっての!」
あはは、と俺は苦笑した。働くという事は三年間みっちりやっているのだから、キツイのも分かる。
母さんの方から「あ、」と小さくくぐもって聞こえた。
「…そういえば、薬とかまだ大丈夫なの…?」
俺は「あぁ、大丈夫。」と言い返した。
高校に行けなかった理由にも多少なりとも関わっている病院だが、これはまた後で話そう。
そんな事を考えている間に母さんの準備は終わり、母さんは仕事に向かった。
ちなみに、俺の家族構成は母・俺・妹・弟の四人家族の俗に云う母子家庭だ。
父親とは離婚した。
お互いにストレスが溜まってたんだと俺は思う。
「…まぁ、良いか。」
俺の本心なんか、誰にも見せない。
…見せてたまるか。
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