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ローラは、無事聖歌を終え仲間たちが住んでいる集落へ歩いて行く。
側近に3人の親衛隊を連れて。
「ありがとー!!」
どこからかそんな感謝の言葉がローラの耳をくすぐる。
聖歌は、ここの人々にとって希望になりうる大切な行事、感謝されてもおかしくないのだ。
ここの集落の住居は、テントなどの組み立て式が多いのが特徴的だ。
色んな場合に備えてすぐ移住できるようにしているのが理由である。
ここにいる人は、皆バンドメイツの人々。
世界の意志に必要とされ選ばれながらもそれを拒んだ人達の集まりなのである。
「ローラちゃん。今日も頑張ったわね。」
集落を歩いていると中年ぐらいの女性が声をかけてきた。
「いえ。これは私の仕事ですから。」
ローラは、笑顔を顔一杯に浮かべて返事をする。その笑顔には、まっさらな純真さが見え隠れしている。
「いつも頑張ってるローラちゃんに私から感謝の気持ちよ。」
そう言って多種の野菜や果物が入ったかごを渡してくる。
「こんなにも・・・・」
ローラが持つには、少し大きすぎる。頑張って持とうとしたのだが小柄なローラの細腕には、持つだけが精一杯のようだ。
「お嬢様。私がお持ちいたします。」
ローラの傍らにいた親衛隊の一人がそのかごを片手で持ち上げる。
「ウィルさん。ありがとうございます。」
ウィルと呼ばれた親衛隊の男は、リーダーに値する人物である。
「うんうん♪全くローラちゃんの人気が凄い凄い。さすがは愛しのローラちゃんちゃんだな。」
親衛隊の一人の男は、軽い口調でそう言ってくる。
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