2.生き地獄

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「あー重い。」 臨也は倒れて意識がない静雄を古びたアパートへ連れ込んだ。 そして、ベッドへ寝かせ約30分後。 「「ほら、起きなよ。シズちゃん!!」」 ガツンッと 静雄の顔面を蹴り上げる。 「………っ…!」 静雄は目を覚ます。 「おはよう。気分は?」 ベッドに靴ごと上がった臨也はかがんで 切れた口端の血を拭いながら問い掛ける。 「最悪に決まってんだろうが…手前だけは許さねぇからな」 「許す許さない、今のシズちゃんには選択肢ないと思うけど。」 「あ?」 静雄はニヤリと口角を上げる臨也を睨む。 「………だって、今からシズちゃんは生き地獄味わうんだから。」 「……はぁ?」 言っている意味がわからない。 静雄は臨也を殴ろうとして気付いた。 手足が動かない。 「何だよこれっ!!」 「今のシズちゃんは並の人間の力と一緒だからね。」 「くそっ…」 手錠は右手一本左手一本右足一本左足一本とご丁寧にベッドに繋げられている。 「「離せよ」」 「嫌だって。さってと、まずは…」 立ち上がり再び顔面を蹴る。 「…………ッゥ…!!」 声にならない悲鳴があがる。 静雄のそんな痛みを知らず何回も蹴った後、腹部を踏み潰すかのように勢いよく踏む。 「「あははっ…!!」」 「………ふ……」 意識朦朧とした静雄はただぼーっと何処かを見ていた。 それが臨也は気に入らなかった。 「シズちゃん、こっち見てくれないかなぁ」 「「っ…」」 グイっと無理矢理バーテン服の襟元を握り顔を上げようとするが ベッドに張り付け状態なので余り上がらない。 「痛い?ねぇ痛い?」 「…っ……ぁ…」 「君の大っ嫌いなノミ蟲に殴られて、蹴られて。でもね、痛がってるシズちゃん可愛いよ。」 そういってまた、一発頬を殴る。 「……っ!!」 「あ、シズちゃんってこんな痛み余り効かないか。」 「?」 「屈辱ってのを味わせたいよねぇ?」 また、臨也の顔がニヤついた。 これ以上の屈辱が存在するのか?静雄の頭では思いつかなかった。 Next→
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