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綾はそれっきりさっきの事について追及はしてこなかった
きっと俺の気持ちを考えての事だろう
本当に良く出来た奴だと思う
俺は改めて綾を見る
さっきから綾はこれから行く旅館のパンフレットと睨めっこしている
その為、俺の視線に気付いていない
こう見ると、綾は本当に両親の良いところを受け継いでいると思う
顔立ちにしたって、本当に整っている
性格も……どちらかというと性格は母さん似か？
だけど集中すると段々体が縮こまっていくのは父さん似だな
良くそれで母さんが姿勢が悪くなるって怒ってたっけ？
俺が綾を見ているとようやく気付いたのか綾が顔を染めて俺の方を見てきた
「どうしたの？お兄ちゃん。私に欲情した？だけど此処じゃ人に見られちゃうからトイレに――」
「黙れ」
この性格はどっちに似たんだ？
そんなこんなで電車は滞りなく旅館に到着した
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