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「だけどそれも変わった。妹の妊娠、そして出産だ。生まれたばかりの赤ん坊ってさ、猿顔してるんだよ。クシャクシャしてさ……だけど、それでも生きている。あんなちっちゃな体でも必死に生きているんだ。そう考えるとなんか涙が出てきてさ」
「……」
「初めて寝返りを打った時は笑顔した。初めて喃語を喋った時は跳ね上がって喜んだ。初めて笑顔を見た時は涙した。それからだよ。俺が生きる意味を見つけたのは」
「この前、歩いたんだ。たった二歩だけだけどな。それでも嬉しいんだ。日々の成長を見られるのが。だから俺は生きているんだ。日々の成長を少しでも長く見ていられるために」
「綾平…」
「なあ、慎也?お前が慰霊碑建てたら俺も付いていって良いか?姪を連れて。それでいつも慎也が迷惑掛けてますって」
「あはは!!それはおまえだろ?だけど、もちろんだ!奴らも喜ぶよ!」
「そうか!じゃあお前は早く結婚相手見つけろよ!紹介出来ねーぞ!?」
「痛いとこ突くな!!ふん!お前なんて姪に嫌われてしまえ!」
「なんだと!」
「ああん?やるか!?」
「ぷっ」
「あははは!」
「ひゃははは!」
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