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「…ったく、なんで忘れんだよぉー!!」
まだまだ明るい夏の夕方。
陽希は半分投げやりに叫んだ。
「仕方ないだろ…第一、どんどん奥へ行っちゃったのは陽希なんだ。僕に責任はないと思うけど?」
陽希の言葉に対して、良真は不機嫌そうに言った。
しかし捜し物をする手は休めない。
「……お前だって興味津々だったくせに…」
「それより早く探してよ。サボる気?」
完璧スルーかよ。
陽希はそう思ったが、口には出さない。
良真が少々ご機嫌ななめなときは、足元に地雷がゴロゴロと転がっていると思え。
それが陽希の、良真と長年付き合ってきた成果の一つだ。
キレた良真は怖い所じゃない。
とてつもなく、恐ろしい。
怒らせちゃ、ダメ。ゼッタイ。
「ねぇ。」
ほら、ヤバいヤバい。
魔王様がおいでになってしまう。
「了解っス!まo…じゃなくて、良真さん!」
陽希は間一髪で、魔王という言葉を飲み込んだのだった。
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