始まり

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「…ったく、なんで忘れんだよぉー!!」 まだまだ明るい夏の夕方。 陽希は半分投げやりに叫んだ。 「仕方ないだろ…第一、どんどん奥へ行っちゃったのは陽希なんだ。僕に責任はないと思うけど?」 陽希の言葉に対して、良真は不機嫌そうに言った。 しかし捜し物をする手は休めない。 「……お前だって興味津々だったくせに…」 「それより早く探してよ。サボる気?」 完璧スルーかよ。 陽希はそう思ったが、口には出さない。 良真が少々ご機嫌ななめなときは、足元に地雷がゴロゴロと転がっていると思え。 それが陽希の、良真と長年付き合ってきた成果の一つだ。 キレた良真は怖い所じゃない。 とてつもなく、恐ろしい。 怒らせちゃ、ダメ。ゼッタイ。 「ねぇ。」 ほら、ヤバいヤバい。 魔王様がおいでになってしまう。 「了解っス!まo…じゃなくて、良真さん!」 陽希は間一髪で、魔王という言葉を飲み込んだのだった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!