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「お前、だれ?」
学生寮の屋上で陽に当たっていた俺を、いつからかじっと見詰めている少女がいた。
「わたしのこと?」
少女は少しばかり舌っ足らずさを残したしゃべり方で答える。
「お前以外に誰が居るんだよ」
そう少女に問い掛けると、少女は至極真面目な顔をして、
「ん」
と、真横を指差した。
「わたし、一人じゃないよ」
しかし、少女が指差す方向には誰も居ない。
「お前以外、誰も居ないよ。ここにいるのは俺とお前だけだ」
この時点で関わらない方がいいとは思っていた。明らかに少女は電波系だ。そうでなければ────
「いるよ。あなたに見えないだけ。見ようとしていないだけ。そうでしょ?」
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