《芽吹きの種》

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備前さまの隣に市さまが腰を下ろす。 その横に茶々がちょこんと座った。 「お二人共、出迎えもせず申し訳ありません。ようこそいらっしゃいました。」 にこりと市さまが微笑んだ。 「茶々、2人に何か言い忘れてはいないか?」 備前さまがそっと促す。 「えっと・・・あ!こんにちは!」 少し慌てて茶々が頭を下げた。 「こんにちは、茶々。大きくなったね。」 「そう・・・かな?」 はにかんだ笑みを浮かべる茶々。 可愛い。 それに、笑った顔が市さまにそっくり。 「茶々はお市殿に似てこられたな。」 長政さまも同じ事を考えてたみたい。 「某もそう思う。将来は市のような美しい姫になるだろう。」 「長政様・・・」 「ほんと?かかさまみたいになれる?」 頬を染める市さまの横で、無邪気に茶々が問い返す。 「ところで長政様、お伝えしたいことが・・・」 話を無理矢理変えるようにして市さまが切り出した。 何か大事なことかな? 市達、邪魔なんじゃ・・・ 「お市殿、重要な話ならば私達は席を外すが・・・」 「いえ、お二人にも聞いて頂きたいので・・・」 一呼吸置いて市さまの唇が動いた。 「子を、新しい命を授かりました。」 市さまの手が滑らかに腹部に滑った。 .
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