異世界の入口

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幾分か眠ったせいか、体の不調は治まり、目を開けると真っ暗だった。 電気も何も全て消したように、闇の中にいた。 「……異端分子よ」 呻くような獣の呻き声に声がした方を見ると、黒い塊があった。 それは、犬か狼のようだった。 「我らが眷属を創りし神、数千という時を待った」 「……」 何を言ってるのか分からない。 本当に意味が分からない。 ケンゾクって意味も家族だとかの一族だという意味だとは分かるけど、それより神って……。 「我が姫、会いたかった」 「………!」 第一印象は絶対に男に見える僕が、この狼は女だと言った。 おそらく初めてだろう。 焦って髪を触ると、相変わらずの短髪だった。 「……あなたは?」 「………」 「え?」 狼の口が動いてるのは見えたが、何を話してるのか分からなかった。 「我が神に祝福を……」 朝焼けのように暗闇が晴れていく。 最後に聞こえたのは、悲しそうに呟く遠吠えだった。  
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