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「カオス様!!」
「……どうした?ニュクス」
記憶にも残らない昔の出来事。
何もない荒れ果てた世界に、一人の女性がいた。
漆黒の髪が腰まであって、慈しむように生まれたばかりの大地を見下ろしていた。
「なぜ、新たな大地を作るのです!?」
「ニュクス、私はね……護りたいものを見付けたいの。この世でたった一つの」
「護りたいもの……ですか?」
「全てが真っ暗に染まり、その中でも輝きを失わない……そんなものを」
天使の羽根のような、純白の羽根に向かって手を伸ばす。
触れた瞬間、古い映像のようにノイズが入り、真っ暗になった。
ただ、落ち着いた声で、柔らかく僕の心に入り込んでくる。
「少なからず、おまえの側にいる連中は、おまえが子供で知識を埋め込み出来ると思っているだろう。そして、利用し世界征服でも考えてるのでは……」
僕には誰が正しいかは分からない。
「おまえが望んだ答えを突き進め。間違っても構わない。正しい人間なんて存在しないのだからな。ただ迷いのある選択だけはするな」
僕は、信じるよ。それが、きっと進む道だから。
「迷いのある人生でも、楽しめ」
楽しむさ、僕なりに……。僕が決めた道筋を。
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