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靴をトントンと床に叩き整える。
今は早朝、学校もまだ開いていない。
「行ってきます」
小さく呟くと、僕は扉を開けた。
少し重たい扉と違い空は透き渡る青空だった。
突き刺さるような風が吹いた。
「はあ」
息を吐くと白いモヤが出た。
今日は確か3月上旬の気温だとニュースで流れていたような気がする。
寒くて制服のポケットに手を入れる。
青みがかった黒髪が風に揺れる。
もう一度、息を吐くと今度は大きいのは出た。
もしかしたら予定より寒いのかもしれない。
男物の制服を着ていて良かった。
「……朝ごはん、食べれば良かったかな」
ちょっと朝食を抜いてしまった。
お腹がグーと鳴った。カバンからクッキーを取り出した。
「ふむふむ……」
チョコチップがほろ苦くて美味しかった。
歩いていた足を止めて太陽を見た。
ギラギラと輝きが見えず、薄い雲で覆われてるようだ。
ニャア、と猫の鳴き声がして塀に座りアクビをしている子猫が見えた。
「あ、そうだ」
昨日、買ったのは良いが忘れていたソーセージがあったことを思い出した。
パッケージを開けて、一口サイズに千切って手渡しで渡すと、匂いを嗅ぎ警戒していたが、恐る恐る口にした。
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