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学校に着き少しすると授業が始まった。
窓の外をボーッと見ていると、先ほどの光景が頭から離れず具合が悪くなった。
「……先生、保健室、行ってくる」
「大丈夫か?顔が青いぞ。アオって名前の通りだな!」
みんなが笑う。オヤジギャグをいつもなら嘲笑うが、今日は笑うことも出来ない。
気分が悪いまま保健室に向かった。
独特の匂いに、目が痛くなりそうな白い布が一面を覆っていた。
幸か不幸か誰もいなくて、ベッドに倒れるように横になった。
涙が出るかと思っていたら、眠気の方が襲ってきた。
「………眠い」
今までに味わったことがないほどの強い眠気に、僕は意識を飛ばしていた。
起きたくない。起きるのもイヤだ。
眠っていたい。苦しい。辛い。
鈴の音が遠くから聞こえた。
複数の音色が重なってハーモニーのようだった。
だけど、低い音よりも高い音の方が耳に残っていた。
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