Prologue

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日暮れ時、朱く染まる部屋でくつろいでいたらダイニングテーブルの俺の鞄からメールの着信音が鳴っていた。 おもむろに、メールを確認して眉をひそめる。 『えっ!今夜?!』 慌てて時計を確認し、俺は ジャケットを羽織ると、ギターケースを持ちブーツを履いてバタバタと出かける… (受信メールの内容は……陽平! 今、銀座のいつもの店。明日からアメリカやねん、朝まで付き合ってや。香 ……) 『香さん、ほんま、いつもいきなりやし……』 そうぼやく俺は、桂木陽平 21歳 大学生。現在 2年目の東京生活を満喫している。香さんってゆうのは俺が高校生の頃、地元大阪の某ファーストフード店で 知り合った言わば先輩だ。年が15も違うけど俺にとっては多くを学べる相手ってわけ。 香さんの事をもう少し詳しく語ると、香さんは現在36歳で主婦兼美容家をしている。 3年前より 趣味がこうじて起業したのにはビックリしたけど、優しい放任主義の旦那さんと3人の子供達と仕事に幸せな日々を送っているみたいや……。 自由で生活感のない、香さんはいつでも誰にでも好かれる。 見た目 20代半に見えるし……あっ、そんな事言ってる間に香さんの待つ店に着いた。 カウンターで、手酌かよ…と、心の中でツッコミを入れてしまう…香さんは、長い髪をシュシュで束ね、薄紫のニットワンピース、ニーハイブーツ姿のやっぱり若い格好でいた。中身はオヤジ……日本酒って…… 『香さん~。久しぶりですやん。』 『早かったね。てか、何なん?その荷物…』…笑) 香さんはギターケースを指差した。 『あ、これ?明日、ゼミの後にバンドがあるから。』 『へ~。』 俺が20歳になった時から香さんとは飲みにゆく機会が増えた。 『香さんは?アメリカって…』 『ああ、向こうに取引先の会社があるんよ。』 『なんか、カッコイイやないですか!』 『やろ?』 得意げな香さんの笑顔は、時たま男よりも男らしい。 『陽平は、何飲む?』 『俺は……グレープフルーツサワーで。』 香さんは俺の飲み物を注文すると取り皿を俺に渡し 手元のおちょこの日本酒をぐいっとあけた。
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