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「あの、どのような髪色が私にめには似合うでしょう」
「銀色なんか、いいんぢゃないでしょうか?それにしても、面白い言葉使いですね」
北沢さんには分かるまい。私がわざと変な言葉使いをしていたことなど、だがその言葉を聞いてから私は言葉使いをノーマルに戻した。
問題はそこではない。今、銀色とおっしゃいましたが…
「銀色ですか…奇抜ですね」
「えぇ、でも似合うと思いますよ」
銀色が似合う顔を私は本当にしているのだろうか。それは銀色な包丁の歯を安全に持つ為に付いている茶色のつかみのようなものではなかろうか、茶色の私が主役のはずがいつの間にか銀色の髪が主役になり私はオプションになるのではないだろうか。それを似合うと言われているのなら、問答無用で却下だった。
「それは包丁のようなものですか?」
「ん?はは」
北沢さん、何も分かってはいまい。分かるまい分かるまい。今まさに包丁に主役の座を取られる惨めなつかみの気持ちなど-
「いえ、何でもないです。あの、髪色は銀でお願いします」
私は決心した。なってやろうじゃないか、つかみに。下克上だ、下克上!
「はい、分かりました。銀色の坂東さん楽しみですね」
私が銀色に染めると決心してから、北沢さんと私の距離が不思議と縮まったように感じた。勇敢なる私の決断に、乾杯。
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