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『笠部さ~ん』
「!?」
クラスの女子に呼ばれ振り向くと、3人の女子が居た
その中心に居る女子が、カールを巻いた長い髪の毛を指で弄りながら
『悪いんだけど~、私たちこれから用があるのよねぇ~』
そう言いながら2人の女子にも相槌を求めるよう見回すと、弄っていた髪の毛を指で払いながら口角をあげ、ホウキを突き出してきた
『だ~か~ら~
掃除、私たちの分までやっておいてね~』
それが合図かのように、次々にホウキ、モップ、ちり取りを渡される
「あっ…あの…」
『よろしくね~』
そう言って各自カバンを持つと教室を出ていってしまった
「……ハイ」
誰も居ない教室を1人で掃除することになった
私はクラスでもあまり存在がない
でも、こういう時だけ私の名前を呼び、近付いてくる
「普段、私なんか無視するくせに…
こういう時だけ…」
でも誰も居ない教室は好きだ
誰にも気を使うこともない
自分の時間が流れている
「やっと終わったねぇ…」
もちろん一人言だ
帰る支度をしていると、教室の窓から光が射し込んできている
ふとその窓から校庭を見渡した
グラウンドでは部活をしてる生徒がいる
「…私には縁のない世界ね」
私はグラウンドに背を向け、教室を後にした
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