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『付き合ってるのは知ってたけど、再婚の事は本当に昨日知った』
「─────」
『笠部が美愛さんの娘だって知ってたら、俺はちゃんと笠部に話してたと思う
でも、本当にそれも知らなかったんだ』
明堂君は本当に申し訳なさそうに頭を下げてくる
「やめて…
明堂君に頭を下げられても困る
でも──」
私は今の気持ちを素直にぶつけた
「だからと言って私は今のこの状態を素直に受け入れることが出来ないし、戸籍を移す気もない
ましてや一緒に住むことも出来ない」
『なんで?!』
明堂君はビックリした顔で詰め寄り、私の両肩を掴んだ
「─母は私に笑ってくれた事なんか一度もないの──」
『え?』
「母に時間がある時でも遊んで貰った記憶すらない─────
本当の娘より仲良くしてる明堂君と一緒に暮らすなんて────」
私の肩に乗せている明堂君の手に力が入っているのがわかる
それでも私は今のこの気持ちを吐き捨てるように言った
「───
私には出来ないしそんな光景見たくもない」
明堂君の手にさらに力が入る
「だから………
一緒に暮らせない
ごめんなさい」
『そっ…か…
笠部がそんな思いを抱えてるなんて知らなかった…
なんか俺───
迷惑な男だな』
その言葉と一緒に私の肩から手を退かしてくれた
「違う!
明堂君が悪い訳じゃないの
私が…
私の知らない母を知ってる明堂君達が羨ましくて
そんな事が出来る母にもイライラして
だから…
どっちかと言うと私の方が迷惑な女だよ」
『そんなこと…!』
また明堂君の腕が伸びてくるのがわかって、私は後ろに下がってしまった
「ごめんなさい
そういう事だから
私とは家族でもなんでもないから学校では今まで通りでお願いします
では───」
『え…
ちょっと待てよ!
まだ話が──
笠部!』
まだ話し足りないのか私の腕を掴もうとしてるのがわかり、私はその場から逃げるように走った
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